アルファ矯正歯科クリニックの斎藤です!

医療従事者の私は、コロナワクチン2回目を打ち終わりました。

万一私自身が感染源となって皆様にご迷惑をおかけしてしまう確率は、少しでも減らせたのではないかと思うと、非常に嬉しいです!

 

さて本題。

以前ブログで論文投稿中とお知らせしておりましたが、先月やっと私の論文が掲載されたMFT学会会誌が手元に届きました!

 

私が論文を投稿したのは去年末だったので、もうずいぶんと時間が経っている感じです。論文ってそれだけ時間をかけて仕上げるもの。

 

とにかくめちゃくちゃ嬉しいです!

なので皆様にも、この論文の内容をご説明させていただきますね!

 

まずMFTという言葉。Oral Myofunctional Therapyの略語として使われております。日本語訳は「口腔筋機能療法」。

その定義は「歯の周りの筋肉の機能を正しくする療法」。

つまり。噛んだり飲み込んだり喋ったり呼吸したりといった、お口の「機能」の改善をめざす治療法です。

具体的には。

舌・唇・頬といった筋肉は、いつも歯に触れています。要するに歯には常に、外側からも内側からも圧力が加わっています。この圧力のかかり方がアンバランスな場合、歯は偏った方向に押され、歯並びが崩れる原因となります。

例えば。「歯が前に出すぎていて、唇を閉じるのが大変」という方がいらっしゃいます。そういった方は普段唇が開いたままなので、ついつい口で呼吸している方がほとんどです。

そのような方が矯正治療で出すぎた前歯を引っこめたとしても、今までの癖で口呼吸を続けがち。唇が開いたままの癖を治さないと、再び前歯が前に出る可能性が高まってしまうのです。

 

歯並びの良い人も悪い人も、「お口の正しい姿勢」を保つ意識は大切です。

「お口の正しい姿勢」とは

1.舌は上顎の内側に吸い上げ、

2.上下の歯は接触させず、

3.唇は軽く閉じる

↑です。

 

最初からお口の姿勢が正しい方もいらっしゃいます。でも長年そうでなかった方が、正しい姿勢を習慣化するのはなかなか困難。。。

そこで必要になるのがMFT(口腔筋機能療法)です。

より良い矯正治療と矯正治療後の安定を目的としてアメリカで行われていた手法を、矯正のドクターが日本に持ち込み、後にMFT研究会(現在のMFT学会)を立ち上げたのが流れです。

2002年の第1回MFTで研究会で、私はポスター発表をさせていただきました。それ以降私は、ほとんど皆勤賞でこの学会に参加、何度もポスター発表や口頭発表を経験させていただきました。

そして今回学会理事の先生から背中を押される形で、筆頭論文を書くことができたんです。

 

ハイ、ここまでがMFT学会の歴史。ここからようやく今回の論文の内容の説明です(笑)

 

矯正医が中心となり、そこから小児歯科の先生方にも広まったMFT。ここに、時代の流れがすごい勢いで押し寄せます。

お医者様の方で、要介護高齢者を減らすために近年言われている「フレイル」という考え方をご存じでしょうか。

そしてそこから歯科に発展して、保険診療に「口腔機能低下症」という病名が新たに加わり、高齢者に対して口腔機能訓練が行われるようになりました。さらに小児でも「口腔機能発達不全症」という病名で口腔機能訓練が行われるようになり、MFTが多用されるようになったのです。

MFTは従来矯正、つまり自費で行われることが多かったので、どうしてもハードルが高かったわけですが、保険で取り組めるようになって一気に広まった感があります。その一方で、長年取り組み続けてきた我々からすると、MFTという言葉だけが一人歩きしているように感じたのも事実です。

そこで。今回私の論文では、保険で行われるMFTを、矯正医の私の視点から考察してみました。患者様に保険制度を使ったMFTを行う場合、何をもって治ったとするのかというところが論点です。

機能というのは目には見えないので、計測データで数値化するしかないのですが、機能検査というのがこれまたあてにできないもの。例えるなら、身体測定は一定の条件で測りやすいですが、スポーツテストはその日のやる気や体調やちょっとしたコツで、結構数値が変わりますよね。

だからといって、検査しないと指標がない。でも検査結果が思うように出なかったからと言って、効果がないと言い切れるのか。

 

さて、私の結論は。

機能検査という指標は必要(スポーツテストと同じです)。今後なるべくビッグデータにしていかないといけない。現在のところはMFTに取り組んだ経験そのものが、小児の発育に良い結果をもたらすようにする必要がある。口腔機能発達不全症に対するMFTといっても様々な背景があるので、患者様おひとりおひとりと丁寧にやりとりする必要がある。とにかく今まで声を届けることができなかった患者様に、大切なことを届けるチャンスが広がった。

 

といったところです~~ふぅ~やっと結論までたどり着きました(^^;)

長々とお読みいただいた方には、心の底から感謝です!

なるべくわかりやすく書いたつもりですが。。。わかりにくいところがあれば修正いたします!当院にいらした際に、ぜひ斎藤までお申し付けくださいませ~