矯正医を選ぶポイント
矯正治療をはじめる医院を簡単に決めていいでしょうか?
現在日本には約67,000件の歯科クリニックがあり、そのうち矯正歯科の看板を掲げているのは約27,000件あります。(厚生労働省 医療施設調査より) 一般的に歯科医院で矯正治療を受ける場合、以下の3つに分かれます。- 一般歯科で矯正歯科の看板を掲げている医院
- 歯科大学付属病院(矯正科)
- 歯列矯正専門の医院
(1)一般歯科で矯正歯科の看板を掲げている医院
まず(1)の一般歯科での矯正治療は、『A.虫歯の治療や入れ歯の治療、インプラント治療、抜歯など、いわゆる一般歯科診療の合間に同じドクターが矯正治療に従事する医院』『B.月に1~2日程度矯正専門のドクターがアルバイトで勤務している医院』の2つのケースがあります。 Aの場合 現在の歯科大学の教育カリキュラムでは、残念ながら歯科矯正学は総論についてのみの学習になります。(歯科医になるための6年間の大学の教育では歯列矯正の臨床は不可能です。)そこで矯正歯科医を目指すドクターは、大学卒業後、大学の医局に残って5年間勉強をすることが一般的になります。ここが一般歯科医と矯正歯科医との分かれ道になります。 しかし、最近では経済的な観点から一般歯科向けの矯正セミナーを受講して矯正治療に手を出すドクターも多いようです。また、一般歯科向けの経営セミナーでも一般歯科医に矯正治療を勧めているようです。 利点としては、かかりつけの先生が治療してくれることで、虫歯も矯正も同じ場所で治療してもらえる。逆に言えば、矯正専門のドクターのいない地域においてはしょうがないとも言えます。 欠点としては、やはり症例数が少ないドクターが多く、経験不足のドクターが多いように思います。(たまに転医を引き受けると困ることが多い)もちろん何をやらせてもうまいイチローのようなスーパードクターも中にはいますが。 Bの場合 矯正専門のドクターがアルバイト勤務している場合、主に大学病院の研修ドクターや大学院生が数件の歯科医院をかけもちして治療に当たる場合が多くなります。もちろん、医局長クラスのバイトドクターもいますから、担当ドクターに認定医の有無と臨床経験くらい聞いてもいいと思います。(ひどい場合には、バイトで初めて矯正治療を経験するドクターもいます) 利点としては、虫歯の治療や抜歯も一件の歯科医院でできる点と、担当ドクターによっては、質の高い治療を受けることができる(一般歯科医と比較してですが)があります。 欠点としては、- アルバイト感覚のドクターが多い
- 専門のドクターといっても経験の浅いドクターが多い(一概には言えませんが)
- アルバイトなのでドクターが歯科医院を辞めることがある(引継ぎでトラブルが発生することがある)
- 診療日が決められているため日程を合わせるのが大変(急患対応できない場合がある)
- スタッフに矯正治療の知識が無いことが多い
(2)歯科大学付属病院(矯正科)
次に(2)の大学病院での治療は、大学病院というと最新の高度な治療をしてくれそうですが、大学病院は医療機関という以前に研修医の教育機関であり研究機関です。
実際の治療に教授や助教授が当たってくれる特殊なコネクションを持った方以外は研修中のドクターが治療にあたります。(もちろんフォロー役、指導役のドクターの監視下ですが、研修医に経験をつませるのが目的です)
ただ、特殊な矯正治療(口蓋裂、顎変形症でも難易度が高い方)は大学病院のほうがよい場合もあります。
利点としては、
- ドクターがたくさんいるので、波長の合わない担当医の場合に変更できる
- 特殊な矯正治療が必要な場合に対応可能
- 研修中のドクターが治療にあたることが多い
- 治療が1日がかりになりやすい(なぜか大学病院の受付って時間がかかりますね)
- 夕方以降の診療を行っていないため予約が取りづらい
(3)歯列矯正専門の医院
最後に(3)の矯正を専門に行うクリニックでの治療は、一般的に大学病院で5年間の研修を終えた認定医を持ったドクターが開業している場合がほとんどです。また、ドクターに専門性が求められるのはもちろんですが、スタッフの矯正治療に関する知識も一般歯科のスタッフよりは高いでしょう。
利点としては、- 矯正治療に対する専門的な技術や知識に長けている (当たり前ですが)
- ドクターが常勤なので比較的スケジュールがあわせやすい
- 装置が取れたときや装置の破損が原因の痛みが出たとき対応しやすい
- 受付や衛生士が矯正治療の知識を持っている
- 虫歯の処置や抜歯処置時に同じクリニックで治療できないことが多い